元なでしこ・永里亜紗乃が語る「引退した今だから伝えられること」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 亜紗乃が優季のいるポツダムの練習に参加したのは、2011年。それまでは日本が日テレ・ベレーザでプレーすることに何の疑問も抱いていなかった亜紗乃の中で変化が生じていた。

「この頃から自分も変わりたいし、姉を追いかけるんじゃなくて、姉と肩を並べたいって思ったんです。姉と一緒にプレーしたい。これが私の目標になりました」

 帰国した亜紗乃は、常に世界レベルの相手をイメージしながらトレーニングを重ねた。その結果、日本での最後のシーズンは19ゴールを挙げ、ベストイレブンにも選出された。満を持して臨んだポツダムへの移籍だった。永里亜紗乃のサッカー人生でこの移籍は最大のターニングポイントとなった。末っ子気質でマイペース。それが自分だと思っていた。ポツダムでの足掛け4シーズンはそんな彼女を大きく変えた。

「人間性が変わった。日本では自立しないで生きていた。移籍を決めたのは1人で生きていかないと成長しないなって思ったからです。移籍したら何でも1人でやんなきゃいけないし、頼ることもできない。自分で何かをするっていう力がついたかな。サッカーに対しても、すごく考えるようになりました」

 自立するためにドイツへ渡り、ようやく見えた自分の道。昨年のFIFA女子ワールドカップのエクアドル戦では、日本史上初めて姉妹でピッチに立った。

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