2016.07.06

元なでしこ・永里亜紗乃が語る
「引退した今だから伝えられること」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ピッチを退く決意を固めるには、さまざまな理由がある。ピッチに立つすべての選手が最後にはその決断をしなければならない。27歳というサッカー選手として伸び盛りのときに、自らその決断を下した選手がいる。今シーズン、ドイツ・ブンデスリーガの1.FFCトュルビネ・ポツダムでスパイクを脱いだ永里亜紗乃だ。

明るい笑顔でこれからの未来を語った永里亜紗乃 Jリーグで活躍し、現在はタイのプレミアリーグでプレーしている兄・源気、なでしこジャパンの不動のエースである姉・優季の姿を見て育った。今や、優季はなでしこジャパンに欠かせない存在であり、また世界屈指のトップリーグであるドイツやイングランドでも高い評価を受けている。人一倍努力家の姉とは二つ違いということもあり、どうしてもサッカー環境が重なる。当然いつも姉と比べられてきた。中学・高校時代は、そんな姉とは距離を置いていたという。

「仲が悪かったと言ってもいいと思います(笑)。周りから『お姉ちゃんみたいに◯◯したらいいのに』とか言われるたびに、『なんで同じことやらなきゃいけないんだ! 私は私のやり方がある』っていつも思っていました……いわゆる反抗期ですね」

 意外にも、その距離が縮まったのは姉・優季がポツダムへ移籍した頃からだという。

「姉が海外に出てからマメに連絡を取るようになった。こんなサッカー観を持っていたんだと初めて知るくらい、それまでは全くしゃべってなかったんです(笑)。連絡しているから彼女がつらいときも、うまくいってるときもわかる。あるとき代表の試合を見ていると姉が変わってきていることが私にもわかりました。海外ってこんなに成長させてくれる場所なのかとも思った。つらい中でもがんばっている姉をすごく尊敬しました」