「ジョーカー」は誰か。サプライズなきサッカー五輪代表から考える (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 アジア最終予選では、こうしたチーム作りが奏功した。イランやイラク、韓国といったライバル国に対し、ボール支配率で大きく劣りながらもしぶとく戦い、速攻やカウンターからゴールを陥れた。イラクとの準決勝でドリブルによって抜け出したFW鈴木武蔵(アルビレックス新潟)のクロスを久保裕也が蹴り込んだ先制点や、韓国との決勝で中島翔哉のワンタッチパスから浅野拓磨が抜け出して仕留めた決勝点は、その最たる例だった。

 リオ五輪もその延長線上の戦いとなる――ゆえに、メンバー構成を大きく変更する必要がなかったのだろう。会見の場で指揮官が言う。

「大会に臨むときに、攻撃的にやれるのか。僕は必ず押し込まれて、守らなければならない状況が続くだろうな、と6割方思っています」

 さらに「日本の強みは何だと言えば、おそらく"速さ"だろう」として、攻撃陣に"高さ"のある選手を選ばず、「後ろを万全にしておきたかった」として、ボランチの選手を4人も選んだところに、「堅守速攻」「スピーディな攻撃」をより研ぎ澄ませたいという指揮官の狙いがうかがえる。こうした戦い方に、選手たちが戸惑うことはないはずだ。

 気になるのは、試合の流れを変えるジョーカーは誰か、という点だ。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る