アメリカで「なでしこの自信」が復活。高倉監督&大部コーチの手腕が光る (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 この日、アメリカの数ある決定機をことごとく跳ね返していたのがGK山根恵里奈(ジェフ千葉)だ。中でも、開始直後のクリステン・プレスのシュートや、8分のエリー・ロング、46分、54分のモーガンの攻撃を逃れたのは山根のファインセーブがあったからだ。

 アメリカ戦には苦い想いがある。2014年のアルガルベカップで対戦した際、単純なキックを相手に当てて失点した。ほんの一瞬の緩みでケアレスミスを犯してしまうことも多かった山根。ここ1年は代表でも出場機会を与えられ、今回はGKの中では最も豊富な経験を持つ。「今日は逃げない」(山根)と心に決めていた。その姿勢がプレーに現れた結果だった。

 2戦を通じて唯一センターバックとしてフル出場した熊谷紗希(オリンピック・リヨン)は、このアメリカ遠征で"変化"を感じ取っていた。

「アメリカが戦い方を変えてきても、それをいなす、はがすプレーができないとダメ。それができないのは自分たちの今の力だと思う」としながらも、多くのトライができたと言う。

「今はそういう時期。ズルズルと下がるサッカーはしたくない。どこかでずっと感じてきたことだし、トライしてみたかった。アメリカ相手にエラーはあっても、これだけラインコントロールで向こうの攻撃やFWの嫌がることをできたのはひとつの自信にしてもいいと思う」と語った。

 これまで強みとしてきた対人の強さを武器にしながらも、全体をコントロールする視野を得ようとしている熊谷。エラーをしながらも正面から体得しようとしたこの遠征を振り返り、「今は希望しか感じない」と言い切った。

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