2試合でたった1点。サッカー五輪代表の決定力不足につける薬は? (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Watanabe Koji

「全部が全部(浅野を)狙っていたら相手も分かりやすいので、一発のパスで拓磨くんを狙うのではなく、崩すためにはもっと工夫して攻める必要がある」

 井手口の言う「工夫」とは、例えば、ポルトガル戦の前半にそのヒントがある。

 日本は強風の風下となった前半、あえて長いボールをDFラインの背後に蹴り、浅野を走らせ、相手にカットされても中盤がセカンドボールを拾って、今度は足下へのショートパスを中心にした地上戦で二次攻撃を仕掛けた。

 日本は立ち上がりから後ろから前へ、上から下へと、相手に揺さぶりをかけながら攻撃を続けた。その成果がひとつの形となって実を結んだのが、38分に浅野の左足シュートがゴール左ポストを叩いた場面である。井手口が続ける。

「僕たち中盤がセカンドボールを拾えたら二次攻撃ができるし、パスを出しただけで終わるのではなく、出した後にセカンドボールを全部拾えればいい。(ポルトガル戦前半は)効果的に攻撃できたと思う」

 足の速い選手をDFラインの裏に走らせて、単純に長いボールを蹴るだけでは崩せない。かと言って、スペイン代表やバルセロナのごとく、足下でつなぐパスワークだけで崩し切るのも難しい。

 バイタルエリアにスペースがないのなら、ボランチがドリブルでボールを前に運んだりすることも必要だろう。そうすることで、守備を固める相手も引っぱり出されてスペースが生まれる。スペースが空けば、浅野のスピードはもっと生きる。

 そして中盤からの縦パスをスペースが空いたバイタルエリアに入れ、ワンタッチでパスをつなぎ、攻撃がスピードアップしたところで浅野にラストパスを通す。そんな流れが、理想のフィニッシュのイメージだ。

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