J得点ランク1位。大久保嘉人のリオ五輪OA枠出場は現実的なのか? (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Etsuo Hara/Getty Images

 五輪はW杯と違い、戦いに老獪さがない。若いチームだけに、差が出るのは勢いや身体能力であり、それがアフリカ勢が頂点に立てる理由になっている(W杯でのアフリカ勢は最高位がベスト8)。ロンドン五輪で準決勝に進んだ日本U-23代表も、前線からの追い込み攪乱とカウンター一発でけりをつけている。単純な戦法だが、出鼻を挫いてペースを奪った。

 そう考えると、五輪サッカーは愚直さが結果を出しやすい。いくらか歪(いびつ)で退屈なサッカーであっても、一つのイメージを共有し、力走によってお互いをサポートする。若い選手は結果によって自信を得て、実力を出せるものだ。戦いを重ねることが成長につながる。

 そしてあえて言えば、もし惨敗するなら、若い選手だけで身をもって悔しさを知るべきだろう。OAを使わなかった北京五輪は完膚無きまでに叩きのめされ、選手の心に強い鞭が打たれた。結果として、岡崎、本田圭佑、長友佑都、香川真司、内田篤人、吉田麻也など多くの選手が捲土重来、海外に雄飛し、代表の主力となっている。

 とはいえ、OAは使わないと指揮官が公言した時点で、若い選手は安心してしまう。安堵は成長を妨げる害悪だ。

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