なでしこジャパンに新風。スゴ腕・高倉麻子新監督の強化ビジョン (4ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 年代別代表の合宿では常に「世界をリードするサッカーをしよう」と選手に伝え、意識も高めてきた。現在の若手には、トップで充分に通用する高い技術があり、運動量豊富で勤勉な選手も多くいる。しかし、それだけではトップで通用しない。「ゲームに勝つ」試合運びとはどういうことなのか。それは、経験のあるベテラン選手と同じピッチに立ってプレーすることで得られるだろう。

 もちろん、協会のサポートも欠かせない。

 そのひとつとして気になっていたのは、代表活動期間の増加だ。カナダ女子W杯後には、キャプテンの宮間あやが、「もっと代表の活動の機会を増やしてほしい」と切実に訴えた。実際、昨年1月から現在までの約16ヶ月間で、日本が戦った親善試合は国内外合わせて3試合だけ。同じ期間で18試合の親善試合をこなしているアメリカ代表との差は大きい。

「やはり、これまでの活動機会は少なかったと考えています。今年からの4年間、中期的な計画を立ててインターナショナルマッチデー(FIFAが確保している代表チームの活動日程)を有効に活用していきたい。リーグともしっかり話し合って、男子がやっているようなショートキャンプなど、リーグの日程に響かない形での活動もやってみたいと考えています」

 今井純子女子委員長の回答には、本気度が感じられた。

 初陣は、6月初旬。アウェーでアメリカとの親善試合が2試合(2日・コロラド、5日・オハイオ)組まれている。

「(世界)ランキング1位のアメリカは、これ以上ない相手だと思っています。今持っている私の力と、スタッフの力、選手の力を100%発揮できるように、全力でぶつかって、何が足りないか、何が日本の力かということを見極めたいと思います」(高倉)

 世界女王相手に、新生なでしこがどんな試合を見せてくれるのか楽しみだ。

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