なでしこジャパンに新風。スゴ腕・高倉麻子新監督の強化ビジョン (3ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

「日本代表はやはりその時に、一番良いパフォーマンスをしている選手を選考していくのが基準になります。ベテランは経験値からくるアドバンテージがあるし、若手には伸びしろがある。上手く融合していきたいと考えています」

 選考によっては、選手の年齢差が10歳以上になることもあるだろう。そんな中、年齢の壁を越えて競争を促しながら、チームの一体感を高めていく手腕に期待したい。そこでは育成年代の強烈な個性をまとめてきた指導経験に加え、自身の選手時代の経験も生かされるだろう。同性だからこそ理解できる感情もある。

 2011年以降、なでしこジャパンが国際大会で結果を残してこられたのは、経験豊富なメンバー同士の連係が大きな武器となっていた。その一方で、メンバーが固定化されてしまい、新戦力を試すも一向に馴染めず、新陳代謝が上手くいかなかったのは課題でもあった。

 現在の若い選手たちがなでしこジャパンで即戦力としてプレーするために、足りないものは何か。4月中旬に高知で行なわれたU-20代表候補合宿で、指揮官はこう話していた。

「なでしこジャパンの選手は、トップレベルで経験を重ねた中での駆け引きを知っています。90分間のゲームで、時間によってのプレーの選び方、今は急ぐ必要がない、行く必要がない、あるいは行くべきだというポイントを知っているし、勝負所を非常によく理解している。だからこそ劣勢でも耐えて、ひとつのセットプレーで勝ってしまう老獪(ろうかい)さを持っています。U-20の選手たちは非常に能力が高く、要求したことを表現できる力を持っていますが、勝ちに持っていける駆け引きはまだ足りないと感じます」

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