シリア戦大勝に隠れた病巣。日本はなぜ格下に「撃ち合い」を演じるのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 うまくいっていないことは、ピッチに目を凝らせば一目瞭然だ。結果は5−0ながら、内容は撃ち合い。その撃ち合いを制した日本の試合ぶりはハリルホジッチの言うように、ある意味で確かにスペクタクルだった。見せ物として成立していた。だがそのエンタメ性は、A級かB級かと言えば、確実にB級。上等とはいえないハチャメチャな撃ち合いだった。

 特にひどかったのは後半だ。前半の後半ぐらいから怪しいムードが立ちこめていたが、1回攻めたら1回攻められる――を繰り返すシーンは、時間の経過とともに増えていった。結果は5−0だが、8対3のような試合。力が劣るシリアに日本はずいぶん殴られた。殴られやすい試合をしたと言うべきである。相手の繰り出すパンチがもう少し強く正確なら、ダウン必至。相手が格上ならボコボコにされていたに違いない。

 試合運びがあまりにも粗雑。頭の悪い賢さゼロのサッカー、大人げない稚拙なサッカーを繰り広げた。

「攻撃をしている時に、組織をどうオーガナイズするか。ブロックをいかにして維持するか」

 冒頭で述べたハリルホジッチの言葉だが、日本はそれが全くできていなかった。もっと分かりやすく言えば、奪われ方が悪い。場所、タイミングに大きな問題を抱えていた。どうぞカウンターして下さい。そう言わんばかりの奪われ方を繰り返した。

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