U-23代表「ハリルさんもやりたいサッカー」で五輪王者メキシコに勝利

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 予選中、手倉森監督は「主導権を握って勝つのはまだまだ」という趣旨の言葉で自分たちのサッカーを表現していたが、チームに少しずつ変化を求めていることが見てとれた。守備に回ることを余儀なくされながらそれに耐え、1点を奪って勝つというスタイルがこれまでの戦いだとすれば、今回は、自分たちでゴールを奪いにいくという、より能動的なサッカーへと変貌を遂げようとしているようだ。

「立ち上がりは前から行こうという話をしていた」と遠藤航が語るように、日本は積極的にボールを奪いに行った。この点だけでも五輪アジア予選とは全く違う。

 一方で相手のメキシコについて、手倉森監督は「日本を舐めていた。60パーセントぐらいの出来だったのでは? おそらく次のポルトガル戦を万全で迎えるための日本戦だったんだと思う」と言う。特に立ち上がりのメキシコは様子を見ながら試合に入っていたため、2分、中島翔哉の左サイドからの得点は効果的だった。日本は前半、そのまま主導権を握り続けた。

「ハリルさんもやりたいサッカーだろうと思う」と、指揮官がニヤリとしながら自画自賛したのは33分の2点目だ。ハーフウェーライン付近で遠藤が奪うと中島につける。中島は右から中央へ一気にドリブルで進み、久保裕也にくさびのパスを入れる。そのボールを久保が軽く流すと、走り込んだ南野拓実がGKの位置を見極めて冷静に決めた。

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