アフガニスタン戦大勝も「上機嫌で自画自賛」の指揮官に募る不安

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 0−0で引き分けてしまったシンガポール戦(昨年6月16日・埼玉)は、その典型的な試合だった。引いて構えるシンガポールに対して、日本はその守備陣の真ん中に突っ込み、行く手を阻まれた。言い換えれば、奪われる位置は真ん中に偏った。サイドと真ん中、同じ高さで奪われれば、カウンターを食う危険度は真ん中の方が五割増しとは、個人的な見解だが、実際に日本は、そのシンガポール戦においても、相手に再三カウンターを食っていた。

 シンガポールに攻撃力がもう少しあれば負けていたといいたくなる試合を経ているにもかかわらず、ハリルホジッチは今回、中盤ダイヤモンド型の4−4−2を採用した。で、実際、何度となく真ん中で止められた。アフガニスタンの戦力はグループ最弱。シンガポールよりも下なので、決定的なピンチを招くことはなかったが、相手のレベルが上がれば、失点必至の状況を迎えることは容易に想像できた。

 こんなサッカーをやっていて大丈夫なのか――とは、この2次予選すべての試合を通して思うことだが、アフガニスタン戦も例外ではなかった。

 日本代表のサッカーは明らかに弱体化している。そこから脱却するためには、少なくとも監督だけは、立派でなければならない。理にかなったサッカーでないと、レベルの高い相手には対抗できない。来る最終予選。このままでは、日本の突破確率は従来よりかなり低くなりそうな気配が濃厚だ。この5−0の勝利は、それを否定する材料にはまるでならない。不安を加速させる勝利というべきだろう。

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