【サッカーU-23】ファン・ウェルメスケルケン・際が語る「異色の経歴」 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru  photo by AFLO

 人生に"もし"という言葉はないというが、それでも、もし際がセンター試験でうまくいき、無事に第一志望の大学へと進学していたら......。「僕のメンタルは甘かったから、日本の大学に進んでいたら、おそらく選手として潰れていたでしょうね」と、際は思うのであった。

 しかも、オランダへ来てサッカー選手になってみたら、FIFPro(国際プロサッカー選手会)が提携するデンマークの通信大学でスポーツマネジメントを学ぶことができた。高校時代の同級生が日本の大学であまり勉強せずに日々過ごしていることを聞くと、「俺、オランダでプロサッカー選手になれているし、質の高い授業も受けているし、最高の選択ができたんじゃないか」と思えてくるのである。

 オランダに来てからの2年間、入団したドルトレヒトと際との契約は、「アマチュア」だった。だから、生活は親からの仕送りに頼っていた。

「今はプロになり、試合の間近しか炭水化物を摂らず、体脂肪率も7%ですが、アマチュアのころは食費を月100ユーロに抑えていたので、どうしても安い食材、つまり炭水化物に頼らざるを得ず、太っていたわけではないですが、身体が重く感じていましたね」

 この間、際はオランダ人相手に主張することを覚えた。また、人間としてもたくましくなり、FWからサイドバックへコンバートしたことで首脳陣から実力を認められ、3シーズン目の今季、プロ契約を勝ち取ったのだ。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る