なでしこの裏で連勝のU-23。発揮された高倉麻子監督の手腕 (3ページ目)

  • 松原渓●取材・文・写真 text&photo by Matsubara Kei

「日本のサッカーに必要な個の能力は、1対1でしかけられる能力のことではなく、状況判断力が優れていること」

 そう考える指揮官は、選手選考においてフィジカルやスピードよりも、状況を判断する力やその判断を生かすためのテクニックを重要視する。その上で、育成年代はなるべく多くの選手にチャンスを与えてきた。初めて代表合宿に呼ばれ、刺激を受けて帰った選手が数年後に頭角を表すこともある。

「年間を通じてリーグを視察して、なるべく多くの選手にチャンスを与えながらチームを作っていく。トレセンのときから見ている選手も多いですし、伸びしろも考えながら呼びます」(大部コーチ)

 今大会で初招集された千葉園子(ASハリマ)も、代表に呼ぶタイミングを見計らっていたひとりだという。千葉は今大会3試合に先発し、スウェーデン戦ではゴールも決めた。身体でも当たり負けしない堂々としたプレーぶりは、大会を視察に来ていた他国のスタッフの目にも留まったほど。
 
 人間観察に長けていることも、優れた指導者の条件のひとつだろう。選手によって声のかけ方は違う。

「選手には嘘をつきません。期待している選手にはそう言います。ただ、きつく言うと顔が暗くなってしまう選手もいるし、厳しく言った方が伸びる選手には甘い顔をしない。そのへんは、直感ですね(笑)」

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