「どん底」なでしこジャパンに見えた、わずかな未来への希望 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 浴びせたシュートは22本。ゴール前を固めるベトナムの守備網を最初に打ち破ったのは岩渕。左サイドからの中島のクロスに、中央の髙瀬愛実(INAC神戸)を一枚飛ばして岩渕が合わせた。しかし、その2分後、岩清水梓(日テレ・ベレーザ)がグエン・ティ・ホアの侵入を止めた際にファウルを取られ、まさかのPKを献上。GK山下杏也加(日テレ・ベレーザ)はコースを読んだがフィン・ヌーが決めきった。

 前半終了間際に大野のゴールで勝ち越し、折り返した日本。ベトナムの健闘があるにせよ、この対戦で"競り勝つ"では意味がない。80分の川澄のゴール以降、途中出場した横山、大儀見らのゴールラッシュで圧倒。6-1で今大会初の勝利を手にした。今のなでしこジャパンに必要な形での勝利だった。

 自在な動きでチャンスに絡んでいたのは中島だ。この試合では右サイドバックでスタートしたが、20分過ぎにはボランチへポジションチェンジ。その後も左右のサイドに流れ、幾度となく鋭いクロスでチャンスを作り続けた。83分にはループ気味のシュートがポストに当たり、そのままゴール。日本に4得点目をもたらした。

 今年に入ってから、1月の石垣島、2月の沖縄キャンプで好調をキープしていた中島。緩急を蹴り分けることができるクロスは中島の強みのひとつだ。さらに2列目からの飛び出しは攻撃アクセントになる。だが、変動するポジションに、なかなかその強みを発揮しきれずにきた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る