【なでしこ】まだあきらめない。絶体絶命からリオへの道を拓く (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 1月の石垣島合宿ではそれが少しずつ形になり始めた。その結果、ボーダーライン上にいた横山は最終メンバー入りを果たしたのである。それでも「決められなければ(何もしていないのと)同じ」と本人の表情は硬いのは、かねてから課題であったスタミナ不足が後半に顔を出し、消えてしまった存在感を自覚しているからに他ならないが、確かな可能性を感じることはできた。

 他にもボランチに抜擢された上尾野辺めぐみ(アルビレックス新潟)も、韓国のキーマンであるチ・ソヨンをケアしながら、チャンスを生み出すなど、良い動きを見せた。初戦とは逆の左サイドバック(SB)に入った有吉佐織(日テレ・ベレーザ)のビルドアップも攻撃に厚みを加えた。最大の誤算は、これだけの流れがあった前半においてゴールを奪うことができなかったことだ。それが最後まで響くことになった。

 ゴールが欲しい日本は59分に岩渕真奈(バイエルン)を投入。しかし、この直後から試合は激動の展開になる。68分、クロス対応に入った近賀ゆかり(INAC神戸)がハンドを取られ、PKの判定に。絶体絶命のピンチを迎えた日本を救ったのは守護神・福元美穂(湯郷ベル)だった。「絶対に止めてやる!」と、チ・ソヨンに対峙した福元が見事に読み切った。PKの読みもさることながら、そのこぼれ球にも自らが反応して蹴り出したプレーはまさに日々の反復練習の賜物。跳ね返しの後の素早いケアは何百回、何千回と繰り返し取り組み、身につけた感覚だ。福元の重ねた努力が実ったセービングだった。


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