崖っぷち上等。なでしこは、チャレンジャーに戻って強くなる (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 40分に同点弾を狙って、佐々木則夫監督は早々と横山久美(AC長野)を投入する。しかしその直後、阪口のパスがボールを避けたはずの主審に当たり、拾ったデバンナが一気に前線へ。M・ヘイマンが山根恵里奈(ジェフ千葉)との1対1を難なく制した。まさかの主審のアシストで痛恨の2失点目。

 前半ラストプレーで阪口のシュートを最後は大儀見が体勢を崩しながら触り、コースを変えて押し込み1点を返すことで何とか崩れるリズムを押しとどめた。

 後半の立ち上がり、日本は一気に同点から逆転を狙おうと先手攻撃を立て続けにしかけた。たられば、ではあるが、チャンスを生み続けたこの時間帯にゴールを割ったのが日本であれば試合の展開は大きく変わったはずだ。49分、FKから混戦に持ち込み、こぼれ球を阪口がトラップからシュートを放つもGKがセーブ。決定的な場面だった。しかし決めきれない日本に、オーストラリアがとどめを刺したのは78分のこと。右からのクロスにファーサイドで全くノーマークにしてしまったゴリーに決められ万事休す。日本は大事な初戦を1-3という完敗で終えることになってしまった。

 敗因のひとつは懸念されていた守備の連係不足。特に3失点目ではそれが顕著に表れた。マークの受け渡し、誰がボールにプレッシャーに行き、誰が人を見るのか。さらには奪いどころが明確にできなかったため、ラインはズルズルと下がり、セカンドボールも奪えないという悪循環を生み出した。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る