優勝でも事態は深刻。サッカー五輪代表「いまそこにある大問題」 (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki  松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburou

 確かに、決勝の韓国戦を見ていても、矢島に限らず、相手に囲まれた状況から苦し紛れのワンタッチパスで逃げようとしてミスになり、逆に危険なカウンターを受けるシーンは多かった。

 いくら守備に軸足を置くにしても、これではあまりにも苦しい。

 キャプテンのMF遠藤航はリオ五輪出場を決めた後、「内容は全部満足できるものではない」と認め、こう語っている。

「ガマンして、しのいで勝てるのは自分たちのよさだが、これで五輪も勝てるとは思っていない。日本らしい崩しや攻撃サッカーを目指していかないと。(耐えて勝つことで)結果が出たので、これからは攻撃の部分で自分たちのよさを出せる戦いをしていきたい」

 決勝トーナメントに入ってからの日本は、他を圧倒するコンディションのよさを武器に、試合を終盤勝負に持ち込んだ。だとしても、もっとパスを動かし、相手に足を使わせて消耗させるのならともかく、ただひたすら相手の攻撃に耐えているだけでは、終盤勝負に入る前にやられかねない。

 幸いにして、リオ五輪出場を逃すという最悪の事態は避けられた。だが、結果と内容は別の話。肝心な問題――これが4大会連続でU-20ワールドカップ出場を逃している原因にも通じている――は何も解決していない。

 今大会でMVPを獲得したFW中島翔哉は、より直接的な言葉で現状を口にする。

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