サッカー五輪世代のアジア王者に。日本が優勝できた最大の要因は何か

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

「この大会でベストメンバーは作らないという決まりを(自分のなかで)作った。ベストメンバーを決めてしまうと、控えの選手はどうせ自分は出られないと思ってしまう。最後まで競争意識をあおりたいし、自分が試合に出て、絶対に勝つんだという当事者意識を持たせたかった」

 とくに気を配ったのは、「モチベーションを損なわないようにすること」だった。先発メンバーから外れる選手には、なぜ外れるのか、その理由も含めて言葉をかけた。

 その結果、誰ひとりこぼれることなく、23名全員が一丸となって全6試合を戦い抜いた。ヒーローは毎試合、日替わりで誕生した。ゴールが決まれば、ベンチからは控えの選手が揃って飛び出し、ゴールを決めた選手は必ず彼らの作る輪に飛び込んだ。

「今大会は途中交代の選手が結果を出す場面が多かった。みんながいい準備をした結果だと思う」

 遠藤はそう言って、メンバーを固定せずに戦った効果を口にする。

 この日の決勝を前にしても、手倉森監督の言葉は的確だった。

 日本と韓国はともに、先制点を取って試合を有利に進めることでここまで勝ち上がってきた。だとすれば、当然韓国に先制点を奪われる可能性もある。そんな話をしながら、力を込めてこう語りかけた。

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