サッカー五輪世代のアジア王者に。日本が優勝できた最大の要因は何か (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

「拓磨が入って、(手倉森監督の)攻撃を仕掛ける意図が読み取れた。拓磨の裏へ抜ける動きはいつも見ている。それが(6試合目の決勝で)ようやく点につながった」

 それでもスコアは1-2。韓国にはまだ1点のリードがあった。しかし、「1点を取られて、韓国の選手はショックを受けているようだった」と岩波。日本は直後の68分、DF山中亮輔のクロスに、今度は矢島が頭で合わせてたちまち同点に追いついた。

 こうなれば、勢いは日本である。

 81分、相手のクリアを拾ったMF中島翔哉がシンプルにワンタッチで縦パスを送ると、再び裏へ抜け出した浅野が冷静に左足で流し込み、一気に試合をひっくり返した。

 このリオ世代(1993年以降生まれ)を含め、数々の年代別日本代表が苦杯をなめさせられてきた韓国を相手に、痛快な逆転劇。致命傷になりかねなかった手倉森監督のミスを、見事に選手たちが帳消しにした。2失点を悔やんでいた岩波が言う。

「0-2から3点取ってくれるなんて思っていなかった。後ろから見ていて感動した。あれを逆転できるチームになったんだなと思った」

 この大会、日本は必ずしもすべての試合で主導権を握れたわけではない。むしろ劣勢の試合のほうが多く、選手たちは「耐えて勝つ」ことで少しずつ自信をつけ、たくましさを増していった。

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