サッカー五輪世代のアジア王者に。日本が優勝できた最大の要因は何か (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 しかも、この追加点で俄然ラクになった韓国は「どんどんワンタッチでパスを回して、余裕を見せてきた」(岩波)。指揮官の"悪手"が、試合の流れを韓国側へと大きく傾けてしまったのである。

「2点目を取られたのは、オレが悪い。これで負けたら、オレのせいだと思った」

 手倉森監督が、そう振り返ったのも無理はない。

 しかし、そんな指揮官を救ったのは、この大会を通じてたくましく成長した選手たちだった。

 キャプテンのMF遠藤航は、6試合目にして初めて先制される試合展開にも、「落ち着いて相手に(攻撃を)やらせず、1点を返せば(試合の流れが)変わるだろうと思っていた」と言い、こう続ける。

「今までがうまくいきすぎていた。だから、こういう(相手にリードされた)ときにどうするかを考えながらやっていた。焦(じ)れずにやる気持ちの部分で変われたと思う」

 FW浅野拓磨の投入が合図だった。

 苦笑いで「3点目を取られなくてよかった」と語った手倉森監督が、15分足らずで4-3-3に見切りをつけ、フォーメーションを4-2-3-1へ再変更するとともに浅野を1トップに入れると、選手たちは「拓磨のスピードを生かしたプレーをみんなが意識してやった」(遠藤)。

 快足FWの途中出場からわずか8分後の67分、DFラインの背後に走り込んだ浅野が、MF矢島慎也のスルーパスにワンタッチで合わせて1点を返す。矢島が語る。

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