韓国との頂上決戦。先制しても、
先制されても勝つ準備はできた

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi  岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 ただし、日本がリオ五輪出場に向けた強化のために21歳以下のチームで臨んでいたのに対し、地元開催で優勝が義務づけられていた韓国はレギュレーションどおり23歳以下のチームで参加し、オーバーエイジも起用していた。さらに、スタンドは真っ赤に染まり、「テーハンミングッ!」の大合唱が鳴り響く完全アウェーの状況で戦ったことは、若いチームにとって大きな経験になったのは間違いなく、このゲームはチームのターニングポイントのひとつとして数えられる。

 当時、手倉森監督はこんな風に語っていた。

「失点しないことを意識し、割り切った戦いができた。それには手応えを感じたが、割り切ることを意識しすぎて、相手のサッカーに最後まで付き合ってしまい、攻撃に打って出られなかった。チームに攻撃の精神を植え付けるには、アタッカーの枚数を増やすのが効果的。次はアタッカーを増やし、2トップのオプションを試そうと思っている」

 こうしてチームはその後、久保裕也(ヤングボーイズ)と南野拓実(ザルツブルク)を初めて招集し、浅野拓磨(広島)や豊川雄太(岡山)を復帰させ、攻撃のバリエーションを増やすことに着手していったのだ。

 このときの21歳以下のチームが年を重ね、現U-23日本代表となっている日本に対し、韓国は監督も違えば、メンバーもまるで異なるチーム。大島も「そのときとはメンバーが全然違うので、あまり参考にならないんじゃないかと思います」と語る。

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