過去0勝3敗のイラクにリベンジを。準決勝は「総力戦」で勝つ (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi  岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 いずれのゲームも日本は21歳以下で、相手は2歳上の23歳以下。アジア大会ではオーバーエイジも加えられていたが、手倉森ジャパンは過去2度もイラクに苦い経験を味わわされているのだ。

 さらにさかのぼれば、手倉森ジャパンを構成する年上の世代――1993年・1994年生まれの選手たちが吉田靖監督のもとで出場した2012年11月のU-19アジア選手権の準々決勝で対戦した相手も、イラクだった。翌年のU-20ワールドカップへの出場権の懸かったこの試合で、日本はいいところなく1-2で敗れ去っている。

 この試合のピッチには、遠藤航(浦和)、久保裕也(ヤングボーイズ)、大島僚太(川崎F)、矢島慎也(岡山)、山中亮輔(柏)、櫛引政敏(鹿島)、岩波の7人が立っていて、松原健(新潟)、杉本大地(徳島)、奈良竜樹(川崎F)、植田の4人はベンチから見つめていた。そのすべての試合に出場していた山中が力強く言う。

「同じ相手に3回やって全部負けたのは、本当に情けない。次こそ勝って、オリンピック出場を決めたいです」

 リベンジを果たすための、最高の舞台が整ったというわけだ。

 今大会のイラクは、アンカーを置く4-3-3を主なシステムとして戦っている。警戒すべきは、頻繁にポジションを入れ替えてくる両ウイングだ。主に右サイドにいる11番のフマーム・タリクは16歳でA代表入りを果たしたタレントで、タッチ数の多いドリブルと鋭角のフェイントでディフェンスラインを切り裂いてくる。2014年のアジア大会で先制ゴールをマークしたのも、このレフティだ。

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