リオ予選まであと1カ月。海外組が語る「なでしこの新しい点の取り方」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ヨーロッパ勢を相手にするのであれば、日本のようなパスサッカーに食いついてくれる傾向があるため、スペースも有効に使うことができる。しかし、アジアが相手ではそうはいかない。実力がほぼ互角の国であれば、ピッチ上の展開スピードは増す。そこにフィジカルで勝負をしてくる相手をかいくぐりながら、有効な仕掛けが必要となる。一方、力の差がある国と対戦する場合は、自陣に構えられてしまう。攻撃にはヨコのみならずタテの揺さぶりが不可欠だ。どちらにしても、今なでしこが持っている攻撃型はすでに研究しつくされており、もはや脅威にならないところにまで来ていると言っていい。だからこそ、と宇津木は言う。

「ゴールを狙うためだけの、ゴールに直結するプレーというものが狙いとして欲しい」のだと。キャンプ2日目にはそうした目的のロングボールを生かした攻撃メニューも取り入れられた。それを実践するタイミングの戦術眼はまだ高まっていないが、いい意識づけにはなったに違いない。

「海外組の強みと国内組にしかない利点が孤立してしまっている」(宇津木)

 現状から抜け出すには、そのふたつを融合させるしかない。メンバー選考の要素も色濃いため、それぞれに持ち味のアピールももちろん重要だが、融合のアイデアの提案もひとつのアピールになり得るはずだ。そのプレーが有効だと証明できれば、なでしこの新しいスタイルになる可能性もある。見方によってはこんな刺激的な課題はない。受け身になるのではなく、若手、ベテランも関係なく、新しいなでしこジャパンのスタイルを築くための貪欲な姿勢が見たい。

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