リオまであと1勝。弱みを強みに、不利を有利に変える手倉森マジック

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 日本はその後、MF中島翔哉の2本のミドルシュートで2点を追加。延長にもつれこむ接戦も、終わってみればスコアは3-0まで広がっていた。

 仮に100の力を持つチームであっても、連戦を重ねるうちに、出せる力は70まで落ちてしまうこともありうる。だが、80の力しかないチームでも、コンディショニングを高めることで連戦下でも80の力を出せれば、互いの力関係は逆転する。

 この大会で日本がやっていることを、例えて言うなら、そういうことだ。

 途中出場の豊川が決勝ゴールを決めるなど、選手起用に冴えを見せる手倉森監督だが、こうしたチームマネジメントにこそ、抜群の手腕が発揮されている。

 対照的に開催国のカタールは、準々決勝の北朝鮮戦を延長の末に2-1で勝ちはしたが、選手は目に見えて消耗していた。前線の何人かを除き、主力のほとんどを固定して4試合を戦い続けた結果、大会序盤に見せた勢いは、明らかに失われている。

 日本は中3日で迎える準決勝でも、おそらくローテーション制を採る。キャプテンのMF遠藤航をはじめ、何名かは準々決勝に続けての出場になるだろうが、先発のうち5名程度は入れ替わるはずだ。彼らにとっては、グループリーグ第3戦から中6日。満を持しての出番である。

 率直に言って、突出した選手はおらず、チームの小粒感は否めない。試合内容についても、これでいいのか、という気持ちは少なからずある。

 だが、超過密日程でもパフォーマンスを落とさず、今持てる能力をフルに発揮し続けるという点では、今大会の日本は際立っているといえる。

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