木村和司が申す「五輪代表に幻滅。日本サッカーは退化しとるのぉ」 (4ページ目)

  • text by Sportiva
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして、大会が終わったときに、それができたから「予選を突破した」、それができなかったから「予選で敗退した」という形になるのが理想よ。そうすれば、予選を突破できなかったとしても、その原因が見つけやすいし、何を強化していけばいいか、ということも分析しやすい。当然その結果が、今後の代表の強化、A代表にもつながっていく。

 でも、今のままでは「勝った」「負けた」という結果が残るだけよ。勝てばまだ、五輪に出場できるからいいかもしれないが、負けたら何も残らない。A代表とはまったく違うサッカーをやっているので、選手たちの評価もできないし、彼らの経験が上にもつながらんのじゃないかのぉ。

――世間的には、早々に決勝トーナメント進出を決めて楽観ムードですが、決してそうとは言えないわけですね。

木村 心配だらけ。一発勝負の決勝トーナメントに入って、準々決勝であっさりやられてもおかしくない。このまま狙いのない、目指すものがないサッカーをしていくのかと思うと、不安ばかりよ。日本のサッカーと言えば、ちょっと前まではボールを大事にして、人とボールがうまく連動して動いてゴールを狙っていく、という狙いがあったけど、U-23代表のサッカーは何がある? 蹴って、前に行って、ボールを保持する地域を挽回するだけ。サッカーは、陣取り合戦じゃないじゃろ?

 だから、U-23代表のサッカーを見ていると、日本のサッカーは、進化しているんじゃなくて、退化しているように感じる。このままじゃあ、日本サッカーの未来は暗いのぉ……。

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