木村和司が申す「五輪代表に幻滅。日本サッカーは退化しとるのぉ」 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

――確かに日本の攻撃を見ていると、“行き当たりばったり”といった印象を受けました。

木村 ほんと、そうよ。ただ前にボールを蹴り出すだけで、何の狙いも感じられない。北朝鮮戦では、相手と同じようなサッカーをして、単にボールを蹴って、前でがんばって……と、戦術も何もない。ずっとそうしたコンセプトでやってきた北朝鮮のほうがまだマシで、そんなサッカーをやり慣れている分、日本よりも多くのチャンスを作って、いいサポートができていた。昨年夏の東アジアカップの際に抑え切れなかった大型FWパク・ヒョンイルがおったら、おそらく負けとったんじゃないかのぉ。

 アジア予選を突破することは大事じゃけど、それだけじゃないでしょ、ってこと。日本サッカーは、世界の上位を目指していくわけじゃろ。そうしたら、そこで戦えるようなサッカーをやっていかないといけんと思うで。もしも今、「日本のサッカーってどんなサッカー」って問われたら、ワシからは何とも説明できんな。「ただ勝つことだけを考えて、一生懸命やるサッカー」って言うしかないんかのぉ……。

 他のチーム、例えば韓国なんかは、彼らが意図するサッカーが見えたというか、ちゃんと狙いのあるサッカーをしていた。1タッチ、2タッチでパスを回して、スムーズにボールを運びながら決定機を生み出していた。攻守において連動性もあって、それこそ、上につながるサッカーをしているな、と感じたよ。

 それに比べて日本は……。U-23ということを考えれば、ただ勝てばいいってものじゃないと思うんだけどな……。やっぱり、たとえ予選であっても、狙いを持ってやるべき。その狙い、日本のサッカーというものを徹底してやっていって、それができたかどうかが大事なんじゃないんかのぉ。

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