北朝鮮から勝ち点3。日本は「無様なサッカー」を自覚して戦った (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

「間延びさせられたために、パス交換のときの(選手間の)距離が遠かった。ロングボールでの単発な攻撃だけになってしまった」

 岩波もまた、「もう少し(パスを)つなげる場面で、ロングボールが多くなった。個人的にも、もっとつなげる場面はあったと思う」と振り返る。

 率直に言って、酷い内容の試合だった。

「相当(選手の動きが)硬かった。初戦の難しさ、プレッシャーはあった。1点取って解き放たれるかと思ったが、逆に1点を大事にしたいという意識に変わってしまった。やはり緊張だったのかなと思う」

 手倉森監督はそう言って選手の心中を慮(おもんばか)っていたが、理由はともあれ、日本が何もさせてもらえなかったのは確かだ。

 試合序盤、北朝鮮がなぜか驚くほどバタつき、ミスを連発したところに乗じて奪った1点がなかったらと思うと、ぞっとするような試合である。

 とはいえ、裏を返せば、こんな内容の試合で勝ち点3を取れたのは大きい。今後の展開を考えると、これでかなり楽になった。

 だからこそ、選手たちはそれぞれ課題を口にしながらも、安堵の言葉を漏らす。

 岩波が「勝ち点3(を取ること)しか考えていなかった。それを取れたことがすべて」と言えば、DF山中亮輔は「最後はみんな死にもの狂いで守ってやるくらいに思っていたと思う。内容が悪くてもひとつ勝ち切れたことで自信になる」と胸をなでおろした。

 この世代は過去にU-20ワールドカップ出場を逃し、一昨年行なわれたアジアU-22選手権、仁川アジア大会でいずれもベスト8敗退と、何かを成し遂げたことがないまま、ここまで来た。それだけに万が一、今回の最終予選でも初戦を落とすようなことがあれば、そのままズルズルと行ってしまう危険性もあった。

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