正体不明の北朝鮮。サッカー五輪予選の日本は「したたかに勝つ」

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi  photo by AFLO

 それだけではない。アジア最終予選のエントリーは23人まで可能だが、北朝鮮がAFCに提出したリストには22人しかいない。ますます、何を企んでいるのかわからないのだ。

「不気味ですね。必ず何か仕掛けてくると思って、十分警戒しなければいけない」

 そう警鐘を鳴らすのは、テレビ中継の解説のために現地入りしている山本昌邦氏だ。山本氏はかつてU-23日本代表を率い、アテネ五輪アジア最終予選のUAEラウンドを戦っていた際、原因不明の集団食中毒に見舞われ、選手もスタッフも腹痛に苦しみ、なかには身体中に発疹が出る選手までいたというアクシデントを経験しただけに、その言葉は重い。

 何が起こるかわからない。相手が何を仕掛けてくるかもわからない。それが最終予選というものだ。しかも、パク・ヒョンイルが不在でも、DFチャン・グクチョルやDFパク・ミョンソン、MFソ・ギョンチンなど、A代表に名を連ねている選手は多く、警戒心を強めておくべきだろう。

 近年の北朝鮮戦といえば、前述した東アジア選手権での敗戦が記憶に新しいところだが、U-23日本代表の選手たちも北朝鮮には苦い思いを味わわされている。

 2014年10月に行なわれたU-19アジア選手権の準々決勝では、1-1のタイスコアでPK戦に突入し、5人目のキッカーを務めた南野拓実(ザルツブルク)が失敗。4大会連続してU-20ワールドカップへの出場を逃してしまった。また、2010年11月に行なわれたU-16アジア選手権では、すでに翌年のU-17ワールドカップへの出場権を勝ち取ったあとだったが、準決勝で顔を合わせて1-2で敗れた。

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