ヴィッセルDF岩波拓也は「声出し」で五輪予選を突破する (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  photo by AFLO

 ヴィッセル神戸U-18の所属だった高校2年の2011年に2種登録され、2012年に公式戦デビュー。2013年のプロ1年目からJリーグで試合経験を積み重ねてきた岩波にとって、2015年シーズンは大きな転機となった。

 ネルシーニョ監督との出会いである。

 ヴェルディ川崎、名古屋グランパス、柏レイソルと、Jリーグでの指導歴の長いこの知将は、トレーニング中から要求が高く、常に厳しい声を投げかけてきた。

「メンタル面はすごく鍛えられたし、勝負に対するこだわりも強くなったと思います。プレーに関しても、これまでの自分は『最後に守れればいい』というスタイルだったんですけど、監督から『前で奪う』ことを強く求められ、それが次第に試合で出せるようになった。成長を感じられる1年だったと思います」

 結果、プロ3年目の今季は昨季の24試合を大きく上回る30試合に出場し、セカンドステージでは全17試合、キックオフからタイムアップの瞬間までずっとピッチに立ち続け、フルタイム出場を果たしている。

 もっとも、ファーストステージ終盤にはベンチから戦況を見守る時期があった。負傷を負っていたわけではない。直前のナビスコカップで犯した失点につながるパスミスを咎(とが)められ、サブに降格させられてしまったのだ。

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