【なでしこ】仲間たちが語る、澤穂希という存在の大きさ

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「ホマは自分にとって"変えられないもの"。誰にもマネできないし、澤さんみたいになりたいって言う人たくさんいるけど絶対になれない」

 近い間柄、くされ縁、姉妹のよう......澤との関係はそんなものでは表現することができないという。

「大野忍っていう人間をこういうプレーヤーにしてくれた人だって自分は思ってる。あの人がいなかったら、自分はここまでやってない。腐り切ってる。ここにも立っていない」と一気に言い切った。

「あのCKのときだって、たとえゴールしたとしてもそこにホマがいないと絶対にイヤだった」と語った大野。今や強豪となったINACでキャプテンマークを巻き、10番を背負う大野だが、何もかもうまくいかない若手の頃から大野を導いてきたのが澤だった。プロの厳しさ、途中で投げ出さない強さ、結果を出すことの大切さ、そして何よりサッカーを楽しむ喜びを教えてもらった。

「今日の試合を終えて、より一層本当に悔いはないなって思えた試合でした」と、一点の曇りもない笑顔でピッチを去った澤。大野はそんな"澤穂希"を自らの誇りとして戦ってきたのではないだろうか。そしてこれからも大野はそうして戦っていくのだろう。澤の築いた輝かしい功績はもとより、共に走ってきたトップ選手の希望にも原動力にもなりうる唯一無二の存在。最後の一瞬まで、"澤穂希"とはそういうプレーヤーだった。

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