オランダに完敗。なでしこがリオ予選前に「大急ぎでやるべきこと」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 この時間帯の波状攻撃はオランダを翻弄したが、与えられた時間は終了。ゴールという形に結びつけられなかったことが、佐々木監督のいう「足りない決定力」ということだ。このタイミングで現れた4-2-3-1は、前がかりになるため終始敷くことはできないが、先手を取りたい立ち上がりや、巻き返したいラスト10分など、勝負どころでは今後、最も期待できる布陣と言えるだろう。

 後半から入った菅澤優衣香(ジェフ)は、大儀見とのポジションをいつもと逆に取り、最前線を担当した。コンタクトスキルに長けた大儀見が下がることで起点は増えたが、そこから先のプレーに関わる枚数は限られてしまう場面も見られた。日本唯一の得点は菅澤が前線でキープし、DFを引き寄せて出したボールを阪口が決めたもの。最近はこの形もなでしこの得点パターンに入ってきている。

 好材料がありながら、敗戦となった要因は先に述べたチームの熟成度の他にもある。あまりにも安易にカウンターを食らいすぎた。失点はすべてミス絡みのカウンター攻撃によるもの。オランダは日本からミスを引き出すためにどんな場面でも必ずボールに対して素早くチェックに入る。それゆえ簡単にボールを流したり、トラップミスをしたりすればインターセプトされるのだ。

 その状況下、印象的だったのが最初の失点だ。宮間は宇津木瑠美(モンペリエHSC)の左足で届くギリギリのところにキツめのパスを出した。結果としてこれを奪われ、失点することになるのだが、その直後に2人は話をしている。「あの場所でいい」そう答えたのは宇津木だ。

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