ハリルホジッチは語らない。日本がカンボジアに苦戦した本当の理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 選手の質も落ちているが、サッカーの中身はそれ以上にひどい。中身が悪いので、つまり、選手の頭の中が整然としていないので、ノリよくプレーできていない。選手か監督か。問題点をあえて二択にして自問自答すれば、監督になる。

 欧州のそれなりの監督がハリルジャパンのサッカーを見れば、「こんなひどいサッカーでは、W杯出場は難しい」と、喝破する人は少なくないはず。ハリルホジッチがカンボジアの監督に苦言を呈した以上のものが返ってくることは、十分予想できる。

「日本代表はもっとよくなっていかなければならない」と、願望を口にするハリルホジッチ。だが、どうしたいかについては具体的には特になし。ある時は得点力不足のせいにし、ある時はサブの経験不足のせいにする。コンディションの問題、練習時間の少なさを口にしたこともあった。進歩的な匂いが感じられないのだ。

 後半のある時、山口蛍が中盤の深い位置から縦蹴りのロングボールをゴール前に送り込むシーンがあった。同じく後半、右サイドバックの長友佑都が右ウイング本田圭佑に向けて、同様なボールを蹴るシーンがあった。

 そんなサッカーをしているチームは、今、どこにあるだろうか。チャンピオンズリーグでは絶対に拝むことができない、頭を抱えたくなる超旧式のプレーだ。

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