ハリルホジッチは語らない。日本がカンボジアに苦戦した本当の理由 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 従来のレギュラーが個人的に見せ場を再三、作っていたなら、その言葉に筋は通る。槙野智章や遠藤航、山口蛍らがミスを犯しても、従来から出場機会の多い宇佐美貴史、香川真司、原口元気、岡崎慎司らが、前線で格の違いを見せるようなプレーをしていたならば、信憑性は増す。だが、彼らもまた苦戦した。

 ドルトムントで復活したとされる背番号10、香川はカンボジア人にとってはヒーロー。憧れの存在だそうだが、この日いったいどこで何をしたというのか。格の違いどころか、存在感さえ発揮できなかった。消えていることが多い、頼りにならない選手になり下がっていた。

 宇佐美、原口はカンボジアのマーカーに手を焼いていた。1対1できれいに外したプレーはほぼゼロ。日本ではドリブルの巧い選手で通る両者だが、その看板に偽りありと言いたくなる、キレに欠ける魅力的ではないプレーに終始した。

 慢心、伸び悩み、周囲の過大評価……そうなってしまう原因はいろいろと考えられる。だが、一番の原因はサッカーの中身にある。サッカーそのものが全然よくない。それはこれまでの予選6試合すべてに通じる話であり、国内組主体で臨んだ東アジア選手権でも露呈したことだ。

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