症状が悪化したイラン戦。ハリルジャパンはパスサッカーを捨てた (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 世界ランキング(現在55位タイ)通りだと思う。これを2018年6月までに、16番以内に持っていくには、サッカーがよほど優れている必要がある。考え得る限り最高のサッカーをしないと、そのラインには届かない。すなわち、可能性はゼロではないと踏んでいるわけだが、そのためには、思いっきり優れた代表監督の存在が不可欠になる。

 2018年6月。つまり2年8か月後から逆算すれば、いまのこの状況にもっと慌てるべきだろう。ハリルジャパンをこのまま放置することは、楽観主義者の発想だ。予選を勝ち進むその姿をメディアは毎度「結果は出している」と肯定する。この言い回しをお約束のように使うが、アジア予選は結果ではない。過程だ。

 アジア2次予選を戦ういまの段階は、マラソンでいえばせいぜい5キロ地点。通過して当たり前の状況だ。「結果」を出している相手は、世界ランク100番台の国。ハリルジャパンを取り巻くムードを見ていると「ベスト16に行きたくないのか」と言いたくなる。

 ハリルホジッチがやりたいことは見えている。攻撃にスピードを求めようとしているわけだが、それは従来の方法論、「パスサッカー」でも十分演出できる。スピードではなく、スピード感。言い換えれば、緩急だ。投手が140キロのストレートを速く見せる方法。目の錯覚を利用する方法を追求すれば、日本サッカーの問題は解決する。

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