症状が悪化したイラン戦。ハリルジャパンはパスサッカーを捨てた (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 だからといって、新しい立派な看板が掲げられたわけではない。それで日本代表に新たな魅力が備わったのなら、あるいはその予感を感じさせてくれるなら、ギリギリ許したくなる。次回W杯は、新たな価値観に懸けてみようじゃないかと言い出す人がいてもいいと思う。だが、就任以来数ヵ月が経過してもこの有様では、そのまま前進することに激しく抵抗したくなる。

 巨大迷路に迷い込んでしまった状態。まさに五里霧中だ。

 正の側面は消える一方で、負の側面は依然として残ったままだ。この監督で大丈夫なのか。監督交代を叫ぶ声はまだ聞こえてこないが、声は上げないまでも、内心マズイんじゃないと思っている人は多いと思う。

 選手の質が右肩上がりにないことは事実だ。メディアが「プラチナ世代」としきりに煽る武藤嘉紀、宇佐美貴史、柴崎岳らは、かつての中田英寿、小野伸二、中村俊輔に匹敵するだろうか。「ブロンズ世代」がいいところだ。香川真司、本田圭佑、岡崎慎司に今後、昇りの階段は用意されているだろうか。今季のチャンピオンズリーガー、0。これが現在の日本を端的に物語る数字だ。

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