症状が悪化したイラン戦。ハリルジャパンはパスサッカーを捨てた (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 その看板は、ハリルホジッチ就任を機にすっかり降ろされた状態にある。パスサッカーの負の側面のみならず、正の側面まで失われている。

 その昔、トルシエがいきなり「フラット3」をやり始めた時に似た状態にある。来てみたらビックリ。そんな感じだ。

「方向性は間違っていない」

 ブラジルW杯敗退後、原博実サッカー協会専務理事、大仁邦彌会長ともどもそう口にした。方向性とは具体的に何を指すのか曖昧だったが、従来のやり方に大きな間違いはないとの判断を彼らはそこで下している。日本サッカー協会として、方向性を大きく修正しようとしたわけではなかった。そしてまず、アギーレがやってきた。結果は残せなかったが、方向性という点に疑問を抱くことはなかった。ザックジャパンの負の部分を修正しながら、前進しようとする姿勢は見て取れた。

 その延長線上にハリルホジッチは位置していない。攻撃的サッカーが守備的サッカーに変わったとは言わないが、日本代表の正の部分はすっかり失われてしまった。

 これでも「方向性は間違っていない」と言い切れるのか。もう一度訊ねてみたくなる。

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