シリア戦勝利でも目についた、ハリルジャパン「4つの欠陥」 (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama photo by Getty Images Sports

 本田が真ん中に入る頻度が増すと、日本の右サイドは酒井高徳ただ1人になった。そこは相手のシリアにとって狙い目になっていた。事なきを得たのは、シリアの攻撃にそこを突くだけの力がなかったから。W杯アジア2次予選でしか通じない作戦。W杯本大会では絶対に通じない考え方であることは、ブラジルW杯のコートジボワール戦で得た教訓ではなかったのか。左の香川が真ん中に入ってしまったためにできたスペースを、相手の右サイドバックに突かれたことで、日本は同点弾、逆転弾を許したのだ。こんな重大なことをわずか1年で忘れるとは、おめでたいにも程がある。

 本田はこうもコメントしたという。「外に張っても、僕みたいな選手は何もできないで終わることがある」と。本田はいま、ブラジルW杯時の香川になろうとしている。危ない。サッカーにはマイボール時と相手ボール時の2つの局面がある。相手ボール時に、本田が真ん中にいれば、あるレベルに達したチームは確実に日本の右サイドを狙ってくる。

 本大会でベスト16を狙う日本が考えるべきは、相手ボール時の対応だ。弱者が強者を倒すアイデアだ。ハリルホジッチは知っているのだと思う。これが本大会では通じない作戦であることを。つまり、この場をなんとか誤魔化そうとしている。原さんの目にも、そのあたりのことは見えているはずなのだが。見て見ぬふりをしていると、予選を辛くも通過しても、本番で酷い目に遭う。

 ハリルジャパンが今のままなら、先行きは相当に暗い。僕は「危機」だと読んでいる。

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