アフガニスタン戦大勝にも構造的問題。香川真司頼みでいいのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 それに比べると、いまは数メーター低い。サイドバックには長駆の駆け上がりが求められるようになっている。右の酒井宏樹は馬力があるのでなんとか対応できるが、長友には少しつらい。長友を見ていると、日本の現状には、アギーレ式の方が相応しいように見える。

 両センターバックの間隔を広く保ち、そこに長谷部を滑り込ませて3バック的にし、両サイドバックが攻め上がりやすい環境を作った方が、チャンスは増える。引いた相手にはサイド攻撃が有効と言われるが、そのためにはサイドバックの活躍、高いポジショニングが不可欠だ。

 そうした意味で、理にかなったゴールに見えたのが、本田が押し込んだ最後の6点目だ。左のタッチライン際で、長友と香川が細かく絡み、そのボールを、トップスピードに乗った宇佐美貴史がその内側で受けて走ってマイナスに折り返したプレー。これは、引いた相手を崩すサイド攻撃のお手本と言えた。

 サイドで数的優位を作り、その中からスピード感を演出するひねりの利いたサイド攻撃。これを6点目ではなく、先制点にできるか。相手が戦意喪失した終盤ではなく、やる気に満ちた立ち上がりから披露できるか。

 いま元気に見えるのは香川と山口蛍ぐらいだ。調子のよい選手に頼るサッカーでは今後が危ない。調子に左右されない安定感は、構造的な問題を解決しない限り生まれないと僕は思う。


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