予選2戦を前に早くも予防線。ハリルホジッチ、今回の「言い訳」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 また、ハリルホジッチ監督は、自身が就任してからの7試合で「PKが一度もないのはノーマルではない」とも語った。

 なぜPKがないのか。ハリルホジッチ監督によれば、「ファールを誘うようなプレイがないからだ」。指揮官は自身FWだった現役時代を振り返り、「ボールを見ずに相手を見たりして、自分でPKを取りに行っていた」とし、「それがサッカーではインテリジェンスと言われる部分」だとも言う。

 だが、かつて日本でも盛んに「マリーシア(ポルトガル語で『ずる賢さ』の意)」という言葉が用いられ、もっと狡猾(こうかつ)になるべきと言われたことがあったが、その手の話は日本人のメンタリティには向いていない。だからこそ、最近ではあまり語られることもなくなったのだろう。もちろん、ペナルティエリア内(あるいはその付近)で仕掛けていく意識は必要だが、「ファールを誘う=インテリジェンス」と定め、それを得点が少ないことの原因に挙げるようでは、得点力不足の解消はおぼつかない。

 ハリルホジッチ監督が求めているのは、確かに日本人選手に足りないものばかりだ。それ自体は否定しないし、もっと伸ばす必要があることは理解できる。しかし、それらはあくまで日本人の特性を生かしたサッカーがベースにあったうえで、付け加えられるべきものだ。せっかくこれまでに作り上げてきたベースの部分をどこかに置き忘れてしまっては意味がない。

 白髪の指揮官は、いったい日本代表をどこに導こうとしているのか。彼に日本代表を任せて大丈夫なのか。そんな不安を感じさせられた日本代表メンバーの発表会見だった。


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