問題多しハリルジャパン。ただ、監督批判だけでは何も生まれない (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi  photo by AFLO

 もちろん、2分1敗・3得点4失点で最下位という成績では、及第点を与えるわけにはいかない。だが、新体制が発足してわずか4ヶ月強。強行日程のなか、ましてや国内組だけの即席チームで臨んだ大会で、問題が出ないほうがおかしい。

 現在、ハリルホジッチ監督は日本が世界で勝つために改革を行なっている。とりわけ強調しているのが、これまでの日本代表に欠けていた「相手の隙を逃さない素早い攻撃」と、「デュエルの強さ」だ。指揮官自身、大会中に改めて「攻撃も守備も、これまでとはまったく違うことをやっている」と言えば、槙野も、「今までのポゼッションサッカーから、縦に速いサッカーに変えているところ」と話している。

「縦に速い攻撃」という言葉がひとり歩きしがちだが、それ以外を禁止しているわけではない。実際、北朝鮮戦を終えたあとには、「日本人は言うことを聞き過ぎるから、もう少し柔軟にしていいぞ」という声を選手たちにかけている。大事なのは、プレーの優先順位――プライオリティだ。これまで横パス、ショートパスを第1選択肢においていたような局面で、「裏を狙えるんじゃないか」「縦パスを入れられるんじゃないか」という意識づけをしている段階であり、成果は少しずつ表れている。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る