問題多しハリルジャパン。ただ、監督批判だけでは何も生まれない

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi  photo by AFLO

 日本の戦いをさらに難しくしたのが、日程の問題と、それにともなう選手のコンディションの問題だ。7月29日にJ1を戦った選手たちが中国入りしたのは翌30日。中2日で北朝鮮戦を迎え、さらに中2日で韓国戦を戦った。その間の練習は疲労回復やコンディション調整に重きが置かれ、戦術練習を行なえたのは中国戦前日の1日だけ、という状況は異常なものだった。

 こうしたなかで評価したいのは、ゲームを追うごとに試合内容が向上していったことだ。

 北朝鮮戦では、素早く縦を突く狙いどおりの攻撃で先制しながら好機を逃し続け、後半に入るとゲームをコントロールすることができず、疲労から足が止まったところで空中戦によってまんまと2失点した。次の韓国戦では、守備ブロックを築く位置を3つ用意し、選手たちの判断で状況に応じて変えた。DF槙野智章と森重を中心に、空中戦の競り合いとカバーリング、こぼれ球への対応を徹底し、韓国の長身ストライカー、キム・シンウクを封じ込めた。

 そして中国戦では、スローインの流れから中国のエース、ガオ・リンに複数人でプレッシャーを掛けに行ったところでいなされ(寄せる意識が裏目に出てしまったかもしれない)、フリーのFWウー・レイに先制点を叩き込まれた。だが、すぐに立て直し、左SBに抜擢された米倉のクロスに武藤が合わせて追いつくと、その後は日本の時間帯のほうが長かった。

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