屈辱の北朝鮮戦。一夜明けて選手たちが気づいた「柔軟性」 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 日本に対して恥も外聞もなくベタ引きしてくるチームもあれば、なりふり構わずロングボールを放り込んでくるチームもある。相手はあの手この手でアップセットを狙ってくるうえに、劣悪なピッチ状態、猛暑のなかでゲームということが、ザラにある。

 そんなアジアを勝ち抜いたうえで、世界の列強にも勝利する。だからこそ、ブラジル・ワールドカップのあと、状況に応じて柔軟なサッカーをしなければならない、という認識に落ち着いたはずだ(U-22日本代表のコンセプトのひとつは、柔軟性だ)。

 もちろん、ハリルホジッチ監督はそんなことは百も承知で、まずは足りないものを植え付ける。それが身について初めて柔軟に戦っていく、という腹づもりなのかもしれない。

 だが、現時点で指揮官は、「それ以外の引き出しの中身」を見せてくれていない。だから、「これしかない」のか、「あえて強調しているだけ」なのかわからない。その点はこれから見極めていかなければならないポイントだ。

 選手も難しい立場にある。

 ハリルジャパンが結成されてまだ日が浅く、ましてや欧州組が参加していないこの東アジアカップは、「オーディション」に近いものがある。戦術理解度の高さは、サバイバルレースに生き残るうえで大きなウエイトを占めているはずで、選手たちが、まずは指揮官の思い描く戦術を90分間実践してみようという心構えでいることは、話を聞けばよくわかる。

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