北朝鮮戦の本当の敗因。チームを修正できないハリルホジッチ (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 ポジショニングの悪さは、マイボールに転じた時にも露呈した。誰がどこにいるのか、上から見ていても、分からないのだ。その時その時でバラバラ。約束事が働いていないのだ。展開力という意味の「技術」を発揮する機会がないのだ。

 したがって攻撃は、出たとこ勝負になる。頼るのは選手個人個人のフィーリング。よく言えば、あうんの呼吸だ。しかし日本は急造チームだ。このメンバーで戦ったことは、これまで一度もない。コンビネーションには基本的に大きな問題を抱えたチームなのだ。

 そこで問われるのは何かといえば、約束事。ポジショニングはその最たるモノになる。これこそがハリルホジッチの一番の腕の見せ所であるはずだ。

 にもかかわらず、それはそのまま日本の弱点になっていた。試合前、ハリルホジッチは、この急造チームに一体、どんな指示を与えたのだろうか。

 サッカーで必要なのは、素早い攻守の切り替えといわれる。だが、それをスムーズに行なうためには、攻守が切り替わる瞬間を、それぞれの選手がどこで迎えるかが問題になる。攻守が切り替わった瞬間、相手ボールになった瞬間、各選手はどこにいたのか。マイボールの時間を、奪われることをある程度、想定しながら過ごす必要があるが、日本は全くそれができなかった。北朝鮮ボールになると、フィールドプレイヤー10人は、とたんにアタフタした。

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