北朝鮮戦の本当の敗因。チームを修正できないハリルホジッチ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 その結果、日本は1-2で北朝鮮に敗れてしまった。この現実をどう捉えるべきか。ハリルホジッチに同情したくなる気持ちは確かに湧く。だが、僕の目には、それが全てだとは映らない。もし外的要因が敗因の全てと言うのなら、「それは違うのではないですか」とハリルホジッチに言いたくなる。

 程度で言うなら3割程度。7割は別に原因がある。直接的な原因はそちらにある。言い換えれば、フィジカル面が万全でも、あるいはコンビネーションが万全でも、僕は苦戦していたと思う。

 2失点の直接的な原因はヘディングだった。高さに屈した。放り込み作戦に脆さを見せた、ということになるが、それを受けて「そういえば日本は昔から放り込みに弱かったな」という話で落ち着いたとしたら、これも本質から外れたものの見方である。

 疲れた中で、あるいはコンビネーションに難を抱える中で、日本はできうる限り、ちゃんとした戦いをしたのか。良いサッカーをしたのか。問題の本質はここにある。

 前の試合のシンガポール戦(6月・埼玉)。日本は弱小チームにホームでまさかの引き分け劇を演じた。ゲームはコントロールした。決定的チャンスは幾度となく作った。問題はゴールが決まらなかったことだけ。そうした方向で話は落ち着いていると思う。相手GKの健闘を思い切り称える報道も目についた。大きな問題として捉えている人は決して多くないと思う。ハリルホジッチの采配に矛先を向ける人は限られた。

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