東アジア杯予備登録50人。ハリルJに最適な「新戦力」とは

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 今季、ベガルタ仙台から浦和へ移籍してきた武藤は、しかし、仙台では絶対的な主力選手ではなかったこともあり、その実力には懐疑的な見方もあった。今季開幕当初のJ1で「ムトウ」と言えば、FW武藤嘉紀(FC東京→マインツ/ドイツ)のことであり、「もうひとりのムトウ」が注目を集めることは少なかった。

 ところが、武藤本人が「浦和のサッカーは決まり事が多く、キャンプでは怒られていたが、それが自然とできるようになってきた」と話しているように、試合を重ねるごとにチーム戦術に適応。そのうえで自身の特徴を十二分に発揮し、存在感を強めていった。

 武藤の特徴は、相手DFとMFの間の狭いスペースでも巧みにポジションを取り、縦パスを引き出せること。そして、ボールを受けたら前を向いて仕掛けられることだ。しかも、ただ闇雲に前を向こうとするのではなく、状況次第ではシンプルにワンタッチでさばくこともできる。ともに左サイドでプレイするMF宇賀神友弥、槙野とのコンビネーションのよさがそれを証明しており、周囲をうまく生かしながら自らも生きる術に長けているのが、武藤の武器だ。その結果が、チーム最多の9ゴール(セカンドステージ第3節終了時)である。

 J1ファーストステージのMVPと言ってもいいほどの活躍を見せた武藤は、今がまさに旬のアタッカー。日本代表の2列目はハイレベルな最激戦のポジションではあるが、ぜひとも国際舞台で見てみたい選手だ。

 FWの注目株が武藤なら、DFで推しておきたいのは車屋紳太郎(川崎フロンターレ)である。

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