原口元気、ドイツでの苦悩「こんなに自信を失ったのは人生初」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

 試合に出られるようになり、気持ちに余裕が生まれると、生活のリズムもよくなって、原口はベルリンでの日常も楽しめるようになった。

「(ドイツの首都)ベルリンは、日本の東京みたいにざわざわしていなくて、町が落ち着いている。その分、サッカーに集中できます。今、(ホームの)オリンピックスタジアムの近くに住んでいるんですけど、そこものんびりとしていて、すごく気に入っています。犬の散歩をしたり、日本から彼女が来てくれたり、かなりリラックスできる環境ですね。食事は、普段はベルリン在住の日本人で作りに来てくれる方がいて、非常に助かっています。ベルリンには日本食レストランも多いですし、チームで前泊の際にとる食事も、パスタとかソーセージがメインだけど、そういうのも大丈夫なので、食べることに関してストレスを感じることはありませんでした。とにかくシーズン後半は、プレイも、プライベートもいい感じで回って、すごく楽しかったです」

 原口自身の"流れ"がよくなると、周囲にも好影響を与えた。浦和レッズのJリーグファーストステージ優勝に大きく貢献したMF関根貴大(20歳)もそのひとりだ。原口の背番号「24番」を引き継いだ彼は、「自分らしくやれ!」という原口からのアドバイスが、今日の活躍につながったという。

「関根は、自分と同じくレッズの下部組織で育ってきた。そんな選手が、トップに上がってからうまくいかなくて、悩んでいた。だから(自分がアドバイスをしたあと)、関根が今、活躍しているのはすごくうれしいですね。よくプレイスタイルが似ているって言われるんですけど、まだ彼は(プレイが)雑でしょ(笑)。でも、勢いがある。関根の年齢でその"勢い"を止めてプレイする必要はない。自分も関根くらいのときは、イケイケドンドンだったし、そういう時期に成長できると思うから、このまま積極的なプレイを続けていってほしい」

 原口はそう言って"兄貴らしい"優しい表情を見せた。

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