DFの要、熊谷紗希が涙の後に語った「なでしこジャパンの課題」 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

 アメリカとの決勝で、日本は立て続けの3失点。佐々木則夫監督は、前半33分に澤穂希を投入。そして、失点に絡んだDFリーダー、岩清水梓を外した。

ボランチの阪口夢穂(みずほ)をセンターバックに下げ、同じくボランチの宇津木瑠美を左サイドバックにした。その後、澤の存在もあってボールは落ち着き始め、戦況も一方的なものではなくなった。熊谷は出場し続け、阪口とのコンビネーションで守備を安定させたが、驚きは隠せなかった。

「練習でやったことのなかった形でしたし、ちょっとびっくりしましたけど、みずほと声をかけながらやった。向こうは3点とってからは、けっこう引いていたので、自分たちがボールを持てたというのもある。そこまでやられることなく守れたかなと思います」

 少しは手応えを感じたが、まとめればひと言だ。

「悔しいなというひと言につきます。戦い方もアメリカの方が上手だったし、これが自分たちの実力なんだなと思う」 

 熊谷は、まもなく始まる欧州での新シーズンに向け、英気を養ってからフランスへと向かう。そこでまた、個のレベルアップをはかりつつ、なでしこのことも忘れない。

「リオ五輪の予選もありますし、今後はそこに向けてやっていきます。もちろんそれだけじゃないですけど……。とにかく自分のチームに帰って新しいシーズンを迎えるにあたって、しっかりそこ(五輪予選)につながるような準備と、いいシーズンを送れたらと思います」

 熊谷は現在24歳。次のW杯も十分狙える。なでしこジャパンのDFの要は、悔しさをバネに新たなスタートを切った――。

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