【なでしこW杯】打倒アメリカを目指して。求めるべきは成熟度 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 思いがけないタイミングで投入となった澤。突然のことでウォーミングアップも完全ではなかった。それでも、これをなんとか突破口にすると、より一層決意を固めたのが宮間だ。前日、彼女はこう話していた。

「ホマ(澤)が入ってきたら、殺人的なスピードのクロスを上げてなんとしても触らせる」

 チャンスはそうそうやって来なかったが、ここぞというときに澤を生かしてゴールを奪いたい。ニアへのアーリークロスをここまで封印してきたのはそのためだった。そして52分その想いが結実する。角度のないところからのFKではあったが、ボールは澤にピタリと合った。DFと競り合いながらボールはゴールマウスへ。オウンゴールとなったが、澤のタイミングの速い競り出しがなければ生まれなかった得点。その直後、宮間と澤は笑顔でハグを交した。

 ここで踏みとどまっていれば、展開は変わったかもしれない。だが、わずかその2分後に再びアメリカにゴールを許してしまう。これでまた流れが変わってしまった。岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)を投入するも、シュートにまでは至らず。守備に攻撃にと強さを見せたアメリカが完璧な試合運びで優勝を手にした。

 たられば、の話は何もならないが、やはり前半の連続失点の流れを切れなかったことは大きい。1点目は仕方ないとしても、2点目、3点目をケアできなければこの舞台では戦えない。

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