なでしこ宇津木瑠美の覚悟。「明日サッカーができなくなってもいい」 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

「今、試合に出られない選手もいますし、そういう人たちに恥ずかしくないプレーをしたい。自分は前回のドイツ大会では10分ぐらいしか出られなかった。ベンチにいた自分だからこそわかることもあると思うので......」

 今大会、宇津木は1試合を除いてフル出場。振り返る言葉は、達観しているようでもあり、ポジティブでもある。

「正直、いろいろ反省はありますけど、何度も言っているように、自分は『明日サッカーをやめてもいい』という気持ちでやっています。もし後悔があるとしたら、それは自分の実力だと思っていて、今の自分は(試合や練習で)自分が最高のプレーヤーだと思ってプレーしています。それに、仮に明日サッカーができなくなったとしても、受け入れる覚悟でいます」

「では、イングランド戦の自分よりも今日の練習での自分は成長していると思うか?」と尋ねれば「もちろん。そういう気持ちで取り組んでいます」と、宇津木はにっこり笑った。

 W杯カナダ大会の決勝は、日本時間7月6日の午前8時キックオフ。2011年W杯ドイツ大会、2012年ロンドン五輪に続く決勝でのアメリカとの一戦だ。

 おそらく、日本が耐える時間帯が長くなる厳しい試合になるだろう。イングランド戦よりもさらに厳しく、「押されては跳ね返す」の繰り返しで、ときにはゴールポストに味方してもらうことになるかもしれない。だが、そんな展開になればなるほど、宇津木がいることの価値が証明されるだろう。彼女もまた、今大会のなでしこらしさを体現するひとりだ。

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