なでしこ最年少、岩渕真奈の「気持ちの余裕」がもたらす好循環

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

 だが、今は違う。

「4年前のうまくいかない感じから、この2、3年ドイツでやってきて本当に良かったなと思えている自分がいて、まあ、気持ちの余裕が出て来ているかなという感じです」

"うまくいかない感じ"を経て、彼女は成長を求めた。ロンドン五輪を経験した後の2012年末には当時ブンデスリーガ2部だったホッフェンハイムに移籍。昇格を目指しているチームで、主力として扱うという前提があったとはいえ、2部クラブへの移籍だった。女子の場合、2部は全国リーグでさえなく、南北ふたつのリーグに分かれており、チーム間の実力差も大きい。それでも飛び込んだのは「試合に出てこそ」という本人の強い意思があってのことだった。

 無事にホッフェンハイムを昇格に導き、翌シーズン、1部残留を決めると、2014-2015シーズンにはバイエルンへ移籍した。男子サッカーでバイエルンといえば、欧州でも1、2を争う実績と規模を誇るが、このクラブが女子サッカーに力を入れだしたのは最近のこと。ドイツでは、フランクフルト、ポツダム、ヴォルフスブルクが強豪で、その牙城を崩そうという存在がバイエルンだったが、岩渕はあえてそこを選択した。

「候補が何チームかあったなかで、それぞれの監督と話して、バイエルンの監督が一番『この人とやりたいな』と思えた」(岩渕)

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